出雲市民病院 4F 外科・整形病棟

たった一人の患者様のために、開かれたクリスマスコンサート
Aさんは50代女性。乳癌末期で当病棟に入院されました。自分の余命を全て告知されていたAさんは、最期の迎え方についても希望を持っておられました。
「人工呼吸器はつけてほしくないわ」「いろんな人に会っておきたい」地域のコーラスグループに所属していらしたAさんは、交友関係も広く毎日友人の面会がありました。
わたしたちで、Aさんに何かしてあげたい
少しづつ状態の悪化が進んできている中、「会いたい人には、みんな会ったわ…。楽しみがなくなってしまった…。」こんな言葉がAさんから聞かれるようになりました。
酸素吸入も始まりIVHルートも確保され、呼吸苦のため夜間の睡眠もままならない状態のAさん。そんなAさんのために何かできることはないだろうかとチームメンバーは考え、クリスマスコンサートを開こうと提案しました。この企画を聞いたAさんは「最期にそんな花道が待っているなんて!」と大変喜ばれました。
12月5日 「少し早いクリスマスコンサート」
当日は、Aさん所属のコーラスグループの方たちが、ボランティアとしての参加を快く引き受けてくださり素敵な歌声を披露されました。病棟は卒後1年目と2年目の看護師が司会をし、手術室や他職場からも応援を受けて即席の合唱団が結成されました。主治医や研修医も楽器演奏を分担し、Aさんのために病棟全体で力を合わせることができました。
Aさんは、コンサート用のドレスに着替え化粧をし、車椅子に乗り、苦しい中でも一緒に歌を歌われました。病室のベッドで寝ているAさんとは別人のように、とても生き生きしそれは綺麗な姿でした。
Aさんには娘さんが付き添い、もう一人の娘さんはビデオに記録されていました。ご家族からはとても嬉しかったと、感謝の言葉が聞かれました。コンサートが終わり、コーラスの友人から毎日のように手紙やはがきが届きました。楽しみがなくなってしまったAさんが、落ち込んでしまわないようにとの配慮からでした。
しかしコンサートから8日目、Aさんはご家族に見守られながら静かに亡くなられました。
「最後の一瞬でも、その人らしく」
私たちの勤務する病棟は日々入退院や手術も3~4件ある忙しい病棟です。患者さんの思いに寄り添い、「最後の一瞬でもその人らしく」を合言葉に私たちのできることは何なのかいつも問いかけながらがんばっています。

