■ 後期研修プログラム

出雲市民病院家庭医療後期研修プログラム

 はじめに
出雲市民病院は、地域住民の健康増進、住みやすい街づくりを目指して医療・保健活動に取り組んでおり、当プログラムの運用は、そうした活動をさらに発展させるため、人・家族・地域を包括的継続的にケアする家庭医を養成することを目的としている。特徴は地域病院基盤型家庭医養成プログラムとして「病棟もみる家庭医」を育てることである。
臨床研修必修化以降、都市部への医師偏在、地域の医療格差が問題となっている。島根県においても例外ではなく、特に産婦人科医、精神科医とともに総合医の医師不足は深刻である。当プログラムは島根の地域医療へ貢献することも重要な役割として位置づけている。
なお、当プログラムは、日本家庭医療学会認定の後期研修プログラムである。

1.研修目標

到達目標

  1. 急性疾患への対応、慢性疾患の管理、健康増進など、あらゆる健康問題への対応において、生物医学的問題だけでなく、患者自身の心理的、家族的問題にも十分配慮した診療が提供できる。
  2. 非選択的な外来・在宅診療、保健予防活動が継続的にバランスよく行える。診療には行動医学的アプローチを取り入れたり、地域の医療資源を有効に活用したりすることができる。
  3. 地域全体の健康レベル向上を目的とした地域保健予防活動に取り組む。地域のニーズやヘルスケアシステムの中で、スタッフや住民らと協同し、科学的なアプローチができる。
  4. EBMに基づいた最新の知識を適応することができる。また、家庭医として必要な臨床能力を身につけ、ライフサイクルにおけるケアや予防医療を取り入れた診療ができる。
  5. コミュニケーション技術をいかし、患者・家族と良好な信頼関係を築く。また、ケアにかかわるチームのリーダーとして、その責任と役割を果たすことができる。
  6. 「生涯学習者」として自己決定型学習を実施できる。常にアップ・トゥ・デイトな情報にアプローチするとともに、自らの診療を振り返り評価し、診療能力の向上に努めることができる。
  7. 成人学習理論を理解し、指導医として学習者中心の臨床教育が実施できる。また、プライマリ・ケアに関する研究の基礎的な知識を身につけ、実際に研究を行う。

個別目標

 研修過程の中で、到達目標とは別にレジデント自身がPre-Assessmentを行い、レジデント、指導医の要望、また、研修施設および社会的ニーズをもとに知識・技術・態度のそれぞれにおいて設定する。

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2.研修期間

 医師初期臨床研修修了後3年間

3.研修施設

  • 出雲市民病院(総合内科、整形外科:選択)
  • 大田市立病院(小児科)
  • 出雲市民リハビリテーション病院(リハビリテーション科:選択)
  • 松江生協病院(産婦人科:選択)
  • 大曲診療所(診療所)

4.研修内容・特徴

必修課題

  1. 診療所および家庭医療科の外来診療
  2. 訪問診療、在宅医療
  3. 総合内科研修
  4. 小児科研修
  5. 地域における健康増進・疾病予防活動
  6. 診療所のマネジメント
  7. プライマリ・ケアに関する研究
  8. 初期研修医の教育

選択課題

  1. 産婦人科・精神科などの他科研修
  2. リハビリテーション科研修
  3. 他の家庭医療学機関における研修
  4. 災害時の支援活動
  5. 国際保健活動への参加
  6. マスコミとのコミュニケーション

プログラムの特徴

〈総合内科研修〉
総合内科研修は出雲市民病院にて行う。出雲市民病院は出雲医療圏の小規模病院として唯一の一般病棟を有する病院である。そこでの内科病棟研修では、臓器別ではない急性期(救急医療を含む)・亜急性期・慢性期にわたる多彩な疾患・健康問題に対応できる知識・技術を習得する。また家庭医療科外来において継続的な外来研修を行い、家庭医を特徴づける能力(患者中心の医療・家族志向型ケア・包括的かつ継続的な医療、地域包括ケア)について、その理論を理解し実践を開始する。さらにはシニアレジデントとして、病棟医療チームの一員として、初期研修医の教育の一翼を担う。

〈診療所研修〉
教育診療所である大曲診療所で行う。家庭医療指導医である常勤所長の指導のもと、非選択的な外来診療、在宅診療、地域保健活動の研修を行う。この時期に家庭医を特徴づける能力(患者中心の医療・家族志向型ケア・包括的かつ継続的な医療、地域包括ケア)をより深く理解し実践を進める。また診療所の運営会議にも参加し、診療所の経営・マネージメントに関する知識を得る。

〈小児科研修〉
小児科研修は大田市立病院にて行う。大田市立病院は大田医療圏における小児医療の基幹病院であり、小児救急をはじめ外来・病棟研修を通して、小児に関わる多彩な健康問題に対応できる知識・技術を習得する。

〈エレクティブな研修〉
3年目にはレジデントのニーズに基づく自由度の高い研修が可能である。研修施設や期間は個別に設定され、これまでの研修で不十分だった分野やさらに関心が生じた分野を補完する。選択科としては、女性診療科(産婦人科)、整形外科、精神科、また、出雲医療圏で唯一在宅から入院まで一貫して質の高いリハビリテーションを提供している出雲市民リハビリテーション病院での研修も薦められる。他の家庭医療学機関における研修、国際保健活動への参加も選択可能である。

〈プライマリ・ケアに関する研究〉
家庭医療学における学術研究の重要性を認識する。研修期間中に研究の基礎的な知識を身につけ、実際に研究し、学会発表や論文作成をすることを課題とする。また、「生涯学習者」として、EBMに基づいた診療を実践する。

〈外部アドバイザーの招聘〉
研修の質を保証するため、これまでのつながりを活かし、家庭医療・医学教育分野のスペシャリストを外部アドバイザーとして招聘する。

〈サポートシステム〉
研修期間中、管理システムから独立したメンタリングを定期的に行いレジデントをサポートする。

教育方略

 研修目標達成のための方略として、プログラム期間を通して実施する。

〈継続外来診療〉
ハーフ(ワン)ディ・バック形式により、大曲診療所もしくは出雲市民病院家庭医療科にて継続的な外来診療を実施する。

〈外来症例カンファレンス〉
週1回、レジデントは自分の経験した気になる症例のプレゼンテーションを行う。それに対し、家庭医療指導医が患者の評価やケアの方法などについてフィードバックする。

〈家庭医療科(家族ケア)カンファレンス〉
月1回、外来スタッフも参加し、家庭医療科患者の家族的・心理社会的な問題も考慮したケアを検討する。このカンファはレジデントがマネージメントすることを課題としている。

〈家庭医療セミナー〉
月1回、家庭医療学や医学教育学をテーマにした家庭医療セミナーを実施する。セミナーには家庭医療学のコア・レクチャーの他、リサーチ・セミナーやロールプレイ、SEAセッションなどを適宜取り入れる。

年間スケジュール例

1年次 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
出雲市民病院(総合内科)

2年次 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
大田市立病院
(小児科)
大曲診療所

3年次 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
大曲診療所(診療所) リハビリテーション科 産婦人科 他の家庭医療学機関

週間スケジュール例

 
午前 家庭医療科外来 ピア・レビュー 家庭医療科外来 検査手技

レジデント回診

 
午後   病棟カンファ  

外来症例カンファ
家族ケアカンファ

リサーチ  
夕方      

家庭医療セミナー

   

・出雲市民病院における総合内科研修期間を想定。家庭医療セミナー、家族ケアカンファは、月1回実施。希望により検査手技のトレーニングを実施

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5.研修評価と修了認定

研修評価

〈ポートフォリオ評価〉
研修期間全般を通して、自己評価・相互評価など、あらゆる評価にポートフォリオを活用する。また、レジデントは各科研修において自主的にテーマ・ポートフォリオを作成し、研修目標の達成を図る。ポートフォリオ作成にあたっては、指導医による研修開始時のオリエンテーションと定期的なサポートが行われる。全研修修了時にはポートフォリオ発表会を開催、職員や患者、地域住民からもフィードバックを受け、研修の成果を共有する。

〈ピア・レヴュー〉
週1回、レジデント同士で外来診療を観察、相互評価する。これにより、患者情報の共有、患者ケアの検討はもちろん、相互に家庭医療の知識を高め合う。

〈研修委員会〉
各科研修に合わせた定期的な形成的評価と年1回の研修目標の到達度に対する総括的評価を行う。研修委員会には看護師やリハビリ技師、ケースワーカー、ケアマネージャーなどの他職種も参加し、多面的な評価を行う(360°評価)。

〈家庭医療指導医による知識・技術面の評価〉
知識・技術面に関しては、家庭医療指導医による外来症例カンファレンス、日常診療の観察、振り返り、カルテチェックにより評価する。

修了認定

 研修目標に達成したと判断された場合、「家庭医療後期研修修了書」が交付される。

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6.プログラム運営体制

研修プログラム責任者:小松泰介(出雲市民病院内科部長)
家庭医療指導医:奥野 誠(大曲診療所所長)
専門診療科指導医:金森 隆(出雲市民病院院長、内科)
景山省次(出雲市民病院副院長科、内科)
大家隆晴(大田市立病院小児科部長、小児科)
木佐俊郎(出雲市民リハビリテーション病院副院長、リハビリテーション科)
松浦幸男(出雲市民病院整形外科部長、整形外科)
戸田稔子(松江生協病院産婦人科責任医、産婦人科)

研修委員会:多職種にて構成
(医師、看護師、リハビリ技師、ケースワーカー、ケアマネージャー、事務など)

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7.出雲市民病院の概要

 

【管理者】 出雲市民病院院長 金森 隆
〒693-0021 島根県出雲市塩冶町1536-1
TEL:0853-21-2722 FAX:0853-21-8101
【開設者】 出雲医療生活協同組合理事長 成相喜代一
〒693-0021 島根県出雲市塩冶町1536-1
TEL:0853-21-2735 FAX:0852-25-0622
【交 通】 JR出雲市駅から徒歩8分
【病 床】 180床
【標榜診療科】 内科、消化器科、循環器科、神経内科、外科、整形外科、眼科、
耳鼻咽喉科、泌尿器科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科
【特 色】  出雲市民病院は高度先進医療を展開する2つの大病院に程近い180床の中小病院である。そうした中で、地域の中核病院としてcommon disease、慢性疾患や生活習慣病などにしっかり対応するとともに、心理社会的な視点を持ち、あらゆる健康問題に対応する役割が求められている。当院は地域医療を担う医師は地域で育てることが有効であると管理型臨床研修指定病院を取得し、毎年研修医を受け入れている。
出雲家庭医療学センターは、出雲地域における質の高いプライマリ・ケアの展開を目指し、家庭医療学の実践・教育・研究に取り組んでいる。2004年より家庭医療科を開設、年齢、性別、健康問題に限定されない診療を行っている。診療では「家族志向型ケア」を重視し、「家族図」「ファミリー・ライフサイクル」などを中心としたアプローチをしている。
【指定医療機関など】 ◇指定医療機関
・労災指定病院 ・被爆者一般疾病医療機関 ・結核予防法指定医療機関 
・生活保護法指定医療機関 ・更生医療機関(腎臓) ・特定疾病治療研究

◇指定医療機関
・救急指定医療機関

◇健診指定医療機関
・政府管掌健康保険指定医療機関 ・市町村共済組合指定医療機関
・日本病院会人間ドック指定医療機関

◇学会認定
・日本外科学会教育関連施設 ・日本整形外科学会認定施設
・日本透析学会教育関連施設 ・日本消化器外科学会教育関連施設

◇施設認定基準
・一般病棟入院基本料10:1 ・障害者施設等入院基本料13対1
・脳血管疾患等リハビリテーション料(T) ・運動器リハビリテーション料(T)
・ペースメーカー移植術 等
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■募集要項■

  1. 応募資格
    厚生労働省指定の医師初期臨床研修修了者
  2. 募集定員
    2名
  3. 応募方法
    下記の書類提出による
    PDF後期研修申込書
    PDF履歴書またはポートフォリオ
    ・医師免許証(写)
    ・初期研修修了(見込)証明書
  4. 選考方法
    提出書類、面接試験により審査
  5. 申込・問合先
    出雲家庭医療学センター事務局 松下裕之
    〒693-0021 島根県出雲市塩冶町1536-1
    TEL:0853-21-2722 FAX:0853-21-8101
    e-mail:igakusei.icfm@izumo-hp.com

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■処遇■

  • 常勤職員として採用
  • 医師給与
    基本給(医師手当込) 3年次(後期研修1年次)472,000円 賞与年2回
    手当 時間外手当、日当直手当、住宅手当、家族手当、通勤手当
    その他(呼出手当、年末年始勤務手当、地域活動手当など)
  • 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の適用
  • 勤務時間
    8:30〜17:00 4週6休制
    年次有給休暇 初年度10日間、夏期休暇4日、年末年始休暇4日、その他
  • その他、就業規則を適用

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