第13回家庭医療セミナー
2005年10月27日
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- 渡部満@出雲市民病院/ICFMです。
今回の家庭医療セミナーはリサーチセミナー第3弾です。私が「バイアス」についてお話ししました。
どんな研究にも誤差はつきもので、完璧な推論というものは難しいです。誤差が生じる要素は「偶然の誤り」「見せかけの誤り」「本当の誤り」という3つのパターンがあります。これらの「誤り」をできるだけ小さくすることで、研究結果の「真の差」に近づきます。
1、「偶然の誤り」=偶然誤差(random error)
たまたま偶然にそういう誤差が出てしまった。大小、あるいは高低の両方向に均等にバラツキを生じる。
対処法=サンプルサイズを大きくし、データの精度を高める。
2、「見せかけの誤り」
相関していると思われる項目のほかに、それらに影響を与えている項目がある。かく乱因子。
対処法=かく乱因子をあらかじめ考慮し、同時に測定・調整する。
3、「本当の誤り」=系統誤差(systematic error)
バイアス(偏り、歪み)により生じるもので、データが特定の方向に偏ってしまうという誤差。研究デザインの段階で発生するため事後の修正は不可能。
対処法=バイアスの入り込みが少ないように、あらかじめ研究をよくデザインすること。適切な測定尺度を採用する。バイアスが入り込んでいる可能性を別の角度から評価しておく(研究限界の考察)。
その後、参加者全員で高橋先生の研究テーマのデザインをディスカッションしました。現在、文献検索などの作業中です。今後、高橋先生とエキスパートのやりとりが伺えるかもしれませんね。(メーリング・リストより)
ICFMが設立されて1年を迎えます。リサーチ・セミナー終了後、「ICFM設立1周年パーティー」をしようとみんなで話し合いました。
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