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病院における家庭医療から地域の健康水準向上を目指す。

医師
高橋 賢史
2005年入職

Q.1

家庭医を志した経緯を教えてください。

医学生の頃から、病気のことだけに限らず、患者さんの生活背景なども考え、いろいろな相談にのれるような医師になりたいと思っていました。また地域全体の健康水準を上げていけるような取り組みも行いたいと考えていました。5年生のときに家庭医療の存在を知り、「自分がやりたいのはこれだ!」と思ったわけです。
当時の日本では、家庭医療という分野はあまり認知されていなかったのですが、出雲市民病院では先輩のドクターが家庭医療を行っていて草分け的存在だったと聞いています。私は初期研修医のうちから家庭医療・総合診療を勉強をしたいという思いがあったので、こちらで初期研修を受けました。私が後期研修に入る年には、ちょうどタイミング良く、家庭医療学会(当時)が作った後期研修プログラムが本格的に始まることになり、そのまま後期研修に進むことができました。

Q.2

家庭医として感じる出雲市民病院の魅力とは、どのようなことですか。

当院の内科部門は、家庭医が主体となっています。専門科が何でもそろっているような大きな病院では、家庭医としてのアイデンティティが確立しにくいこともあると思います。しかしこちらでは、家庭医が病棟の主力メンバーとなり、存分に力を発揮することができます。研修プログラムの特徴としても、家庭医が主体となっている中で学べるという環境が大きいのではないでしょうか。
もちろん、私自身も何でも診られるわけではないですし、できないことも多いという状態からスタートしました。専門の先生と連携したりディスカッションしたりしながら、少しずつできることを増やしていき、今日まで続けてきました。通常の診療科が、特定の臓器や疾患など自分の得意分野をどれだけ伸ばしていくかに対して、家庭医は、できないことをどれだけ減らしていくか。私は医師になって、またこちらに入職して13年目ですが、今もできることが増えていることを実感しており、それが医師としてのおもしろさにもなっています。
最近では、リハ科の先生とのコラボにより、内科疾患治療・機能訓練・体調性が融合し、島根県内でも質の高い効果的な医療が実施できています。それにより、疾患が治ってもなかなか元気にならなかったような患者さんも、今ではADLが回復し、食事も食べられるようになって元気に退院できます。病棟の家庭医が、リハ科専門医やセラピストからアドバイスを受けながらリハ処方が行える環境は非常に勉強になります。リハビリテーション医療の必要性を実感するのは、家庭医療の後期研修を受けしばらくしてからでないと理解できないかと思いますが、これから家庭医療を学ぶ人にとって当院の環境はお勧めです。

Q.3

今後取り組みたいのは、どのようなことですか。

2018年度から、新たに総合診療専門医制度が始まることになっていますので、島根県内の総合診療専門医をどう育てていくか、どう増やしていくかが課題だと思います。当院は2004年に「出雲家庭医療学センター(ICFM)」を立ち上げ、これまで草分けとして積み重ねてきた研究の実績や、指導のノウハウがあります。それを県内の他の施設と共有する形で県全体が一体となり、連携を図りながら総合診療専門医を育てていくことができればと考えています。
家庭医・総合診療専門医が増えることによって、地域としてのプライマリ・ケアの質の底上げができ、またそれによって、他の専門科の医師が、それぞれの専門により集中できるようになるのではないでしょうか。このように、島根県内の医療水準を全体として向上させられる関係を、目指していきたいと思っています。

入職希望者へメッセージ

当院のような病院の内科で、家庭医が中心となった病院は少ないので、ここでしか経験できないこともたくさんあると思います。特に病棟の医療に関しては、疾患の治療だけではなく、患者さんの退院後の生活も見据えたアプローチが必要になってきます。患者さんご本人とご家族も交えたコミュニケーションや合意形成、他職種のスタッフとの連携なども重要です。これからの日本の地域医療を支える人材として、ともに研鑽を重ね、共に成長していきましょう。