「卒後臨床研修における指導のあり方」
2005年09月02日
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- 講師:前野哲博氏(筑波大学附属病院総合臨床教育センター副部長)
〈卒後臨床研修指導医セミナー in 島根〉
森 敬良@出雲家庭医療学センターです。
先日お知らせ致しました前野先生(筑波大学総合臨床教育センター)の講演を聞いてきました。非常に興味深く役立つ内容だったのですが、参加者は20名程度と少なく残念でした。島根大学、松江日赤、県立中央病院、出雲市民病院などからの参加がありました。
前野先生は(1)必修化で何が変わったか(2)指導医に求められる役割、の2つについて話されました。
(1) 最初、必修化の狙いは「市場原理による研修の質の改善」であると聞き戸惑いました。しかし「教育にいかに資源を配分するかが問われる制度」との説明にすっ きりしました。また「研修病院の二極化が進んでいる」ことも話されました。教育に力を入れなければ、いずれは研修医も集まらなくなり、地域での医療ができ なくなってしまいます。
(2)指導医に求められる役割は、Coach、Organizer、Mentor、Role modelの4つです。Coachとしての技法のひとつにフィードバックがありますが、One-minutes Preceptor といって
1.研修医の意見を聞く
2.根拠を確認する
3.一般的な原則を述べる
4.よかった点をほめる
5.改善策を示す
を話されました。
そして今回の講演で最も重要なポイントとして「指導医は根拠を聞くまでは口を挟まないこと」と「かならずよかった点をほめてから改善点を示すこと」とをあげられました。
講演会後は、前野先生を囲んでICFM主催の交流会を開催しました。講演会で話されなかった家庭医療の話や、さらに深い医学教育のことなどが聞けてとても 勉強になりました。そして何より前野先生という人間性の温かさを感じることができました。教育はやはり温かさなのだと思いました。(メーリング・リストよ り)
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